![]() | DEADSHOT―DEADLOCK3 (キャラ文庫 あ 4-3) (キャラ文庫 あ 4-3) 英田 サキ (2007/06/23) 徳間書店 この商品の詳細を見る |
デッドロックシリーズ、待ちに待った最終巻、満を持して登場!!
監獄からテロ戦争、企業と政治の癒着など、現実世界にはびこる問題に鋭いメスを入れた一作である…というのは大袈裟だけど、BL小説の背景として、これらの諸問題をここまでリアルに取り上げた作品は、中々ないのではないでしょうか…
一部センセーショナルというかドラマティックに描きすぎて、ハリウッド映画的なあり得なさを感じなくもないけれど、それでも社会のあり方について考えさせられるという点で、興味深い作品ではあります。
柴田よしき先生の作品とか読んでても思うけど、描き方はやや非現実的ながらも、作品の中に社会が抱える問題をさりげなく散りばめてくやり方って中々効果的だと思うのですよ。日常の中では政治や福祉なんかに興味がなくたって、小説なんかを媒体としたエンターテイメントとしてならすんなり読めますしね。
まあ、英田先生がこれらの社会問題を提起したいのか、それともBL小説の小道具として利用しただけなのかは分からないけれど、読後は少し賢くなった気分が味わえる、お得な一冊ではあります(笑)
肝心のストーリーも、ハリウッドのアクション映画的な組み立てで、素直に面白かったです。謎解きミステリーから謀略に満ちた政治の世界、ロブとの恋と友情の駆け引き、コルブスとの精神的な問答などなど、これでもか!というほど面白い要素が散りばめてあって、飽きることなく一気に読めちゃいました。
惜しむらくは、これらの要素をもっと深く突っ込んで描いて欲しかった!という一点に尽きますね。どれもこれもすごく深いテーマ性を持つ要素ばかりだから、もっと掘り下げて欲しかった…けどそれをやってしまったら、『BL小説』としては失格なんだろうなあ。あくまで主体はラブであって、舞台背景はおまけに過ぎないんですしね。勿体無いなぁ…
勿体無いといえば、ロブ! ロブがいい男過ぎて、何度惚れ直しそうになったことか…! ユーモアセンスもあって優しくて思いやりがあって、頭の回転もよく、おまけにハンサム!
ユウトがロブに慰められたり励まされたり迫られたりするたびに、ディックなんか止めてロブにしちゃえよ!と何回も思いました。
ぶっちゃけ、私…あんまりディック好きじゃないんだ…
一巻のクールで何考えてんだかよく分からない頃のディックは好きだったんだけど、ユウトに惚れてゲロ甘になったディックはちょっと…
ストーリーの中でほとんど出てこないわ、嫉妬深いわ自分勝手だわで、あまり好きになれるポイントがほとんどなかったんですよね…
ラスボス・コルブスは二巻じゃほとんど出番無しだったけど、最終巻では中々良い味出してましたね。社会への矛盾と不満を腹に抱えたひねくれた賢い悪役って、好きです。主人公の心の錯綜を描く上で欠かせない存在ですよね。キャラとしての散らせ方もドラマティック。ダメ人間だけど、最後の最後で株暴騰でした。
もちろん、主人公のユウトも良かった! 時々へこたれたりするけど、基本的に筋が一本通ってて気持ちがいいし、青臭いまでの正義感が好感持てます。この主人公だからこそ、この作品を読み続けられたんだな、と読後になってしみじみと愛着と惜別を感じちゃいまいました。
ディックとユウトのエロシーン(笑)が少なかったという点も、私がこの作品を好きな理由の一つでもあります…
BL大好きだけど、エロシーンはあまり好きじゃないというこの矛盾は、あくまでBLに求めるものが精神性であって、ポルノじゃないという理由によるものです。
最近のBLはエロがくどくて食傷気味…エロよりもストーリーにもっと力を入れて欲しいですね!
最後になりますが、ラストシーンがすごく素敵でした。
ディックの名前をしつこいほど明かさなかったのにはこういう理由があったんですね〜
ユウトとディックの新しい生活の幕開けを感じさせる、希望に満ちたエンドシーンは読後感も爽やかで、大変満足。
本当に、全巻を通して大変面白いシリーズでした。終わっちゃったのが寂しいなー…



